抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬治療について

1. .抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬治療を希望される患者さんをご紹介いただく医療機関の皆様へ

抗アミロイドβ抗体薬(抗Aβ抗体薬)はアルツハイマー病の進行遅延作用が示された薬剤です。
アルツハイマー病そのものが治癒したり、進行が止まったりするわけではありません。
抗Aβ抗体薬治療の対象者はアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度の認知症の方に限定されています。そのため、本剤の使用に関しては、アルツハイマー病によるMCIあるいは軽度の認知症であることを的確に診断し、厚生労働省から発出されている「最適使用推進ガイドライン」に基づいて検査、治療を行います。
患者さんをご紹介の際には、抗Aβ抗体薬治療の対象について、ご理解をいただきますとともに、ご紹介される患者さんの認知機能をご確認いただき、ご紹介ください。また、次に挙げる4つの要件を満たすこと以外にも、高血圧症のコントロールができていない方など身体的状況も含め検討するため、すべての紹介されました患者さんが治療対象となるわけではない旨の説明をお願いいたします。

抗Aβ抗体薬治療の対象となる方は以下の1)~4)の内容をすべて満たす方となります。

  • 1)認知機能の低下理由がアルツハイマー病である方。
  • 2)

    認知機能低下はあるがMCIまたは軽度認知症の方。
    MMSEやCDRの規定があります。規定内の方のみ、抗Aβ抗体薬治療が可能です。

  • 3)

    MRI検査で禁忌事項に該当する所見がない方。
    認知機能低下を説明できるような多発性脳梗塞や「最適使用推進ガイドライン」に禁忌として指定されているような所見が見られない方

  • 4)

    上の1)~3)の内容を満たすことを確認した上で、アミロイドPETまたは脳脊髄液(CSF)検査を実施し、Aβ病理を示唆する所見が確認されている方。

2. 抗Aβ抗体薬治療の流れ

※抗Aβ抗体薬治療にあたっては認知症疾患医療センターを受診し、検査や診察を受け、治療対象であるか判断させていただく必要があります。

 ※治療開始までに複数回の受診が必要となります。また受診時には家族や支援者の同行が必要ですのでご了承ください。

抗アミロイドβ(抗Aβ抗体薬)抗体薬治療までの手順概要
アルツハイマー病の新しい治療薬について |厚生労働省

注意事項

  • 診察の予約は地域の医療機関(かかりつけ医)から予約センターへのFAX予約のみとなります。完全予約制ですので、予約外の診察はお受けできません。
  • 2025年度の外来診察日は月曜日、火曜日、金曜日となっております。
  • 診察や治療時の受診にはご家族や支援者の同行が必要です。
  • 検査毎に、「最適使用推進ガイドライン」への適合状態を判断します。そのため複数回の受診をしていただき、検査を受けていただくようになります。初診時に全ての検査を実施することや、抗Aβ抗体薬治療の開始はできません。
  • 患者状態により、初回投与のみ入院して実施する場合があります。その際は入院予約が必要です。
  • 抗Aβ抗体薬治療中も「最適使用推進ガイドライン」に基づいて検査を実施し、治療継続が可能であるか否かを判断します。
  • 抗Aβ抗体薬治療は原則18か月までとなります。
  • 初回投与から6か月以降は「最適使用推進ガイドライン」に基づいた治療ができる医療施設であれば実施病院を変更することが可能です。6か月毎の「最適使用推進ガイドライン」に基づいた検査は当院での実施となります。

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