1966年1月 | 神経病研究部の設置 八瀬善郎教授就任 |
1999年5月 | 診療科 神経内科の開設 初代 近藤智善教授就任 |
2012年3月 | 近藤智善教授退官 |
2012年4月 | 神経内科学講座の設置 |
2012年7月 | 第二代 伊東秀文教授就任 |
2024年3月 | 伊東秀文教授退官 |
2024年11月 | 第三代 宮本勝一教授就任 |
紀伊半島南部に多発する筋萎縮性側索硬化症のフィールドワークを長期間かけて実施され、1960年代に紀伊ALSとして報告した。同様の症状を呈するGuam ALSを報告されたニューヨーク?モンテフィオーレ医学研究所の平野朝雄先生と共同で病理学的研究も行われ、環境要因によるミネラル不足や金属異常暴露の関与を報告した。(下の写真は患者さんを診察される八瀬教授)
当時、神経内科医療過疎であった和歌山県において、神経内科医の育成に心血を注がれ、南北に長い和歌山県の主要拠点で神経内科診療を行う基盤を作った。市民への神経内科及び神経疾患に関する知識普及活動も精力的に行われた。研究分野ではパーキンソン病の臨床研究、薬理学研究が行われた。
紀伊ALS研究を引き継がれ、和歌山県内のALSを対象としたレジストリー研究の他、神経病理や遺伝子に関する研究が開始された。その研究成果の一つとして、紀伊ALSの発生頻度は1960年代より低下しているものの、未だに一般地域の2-3倍の発生率があること、紀伊/Guam ALSに特有の神経病理所見が現在の症例でも見られること、一部の患者で家族性ALSの原因遺伝子に変異があることを報告している。
臨床分野では、神経内科専門医の育成に尽力され、専門医が常勤する主要病院を増やした。パーキンソン病診療におけるデバイス補助療法の導入をはじめ、神経変性疾患に対して最新の治療が和歌山県内で受けられるような体制を作り上げた。
(第2代 伊東教授就任あいさつ)
脳神経内科学は従来、古典的な症候学に基づく診断学が中心でしたが、近年のめざましい神経科学の発展により、難治性神経疾患に対する根治療法の光が見え始めています。このような新しい時代の脳神経内科学の進歩に貢献できるよう、教室を発展させたいと思います。
医学部の臨床講座は、臨床?教育?研究のすべての面において使命を果たしていかねばなりませんが、これらはそれぞれ独立して存立するものではなく、互いの充実?発展が不可欠です。確かな臨床の実践の中にこそ、臨床上の問題を解決したいという研究のモチベーションが生まれ、その魅力を後進に伝えたいという教育の精神が宿るとの考えから、私は教室の基本方針として臨床の充実を最優先としたいと思います。
上質な臨床を実践することにより地域医療に貢献するとともに、レベルの高い研究を行うことによって、若い諸君が魅力を感じて高い志を持った人材が集う、明るくて活気のある教室づくりをめざしています。
【臨床】
本来、脳神経内科の対象疾患はきわめて幅広く、緊急対応を要する脳卒中や脳炎等の神経救急疾患から、生涯にわたって患者さんと向き合う神経変性疾患まで多岐にわたります。また外来診療では、頭痛?めまい?しびれ?ふらつきといった多彩な症状を呈する多くの患者さんの診療を担当します。さらに脳神経内科は、ほとんどすべての診療科の疾患に随伴する意識障害や神経合併症の診断?治療に力を発揮できる診療科です。あらゆる神経疾患を扱い、全身を診るGeneral Neurology を実践する正統派の臨床脳神経内科学教室をめざします。
【教育】
脳神経内科学は、病歴を詳細に聴取し丁寧に診察所見をとることを重視する学問ですので、ベッドサイド教育が最も大切です。患者さんの病態を正しく理解するためには基礎神経医学の理解が欠かせません。神経科学の知識とロジックに基づいて診断に至る過程が大きな魅力のひとつであり、高い専門性を有しています。できるだけ多くの神経疾患を経験し、高い臨床技術を身につけたGeneral Neurologistの育成にあたります。
【研究】
本学における神経研究は木村潔名誉教授?八瀬善郎名誉教授によって開始された牟婁病(紀伊ALS/PDC) 研究にその源流を求めることができ、50年以上の歴史を有します。その後、近藤智善前教授はパーキンソン病を中心とした臨床研究、生理?薬理学的研究で成果を上げてこられました。私自身はALS、パーキンソン病、認知症などの神経変性疾患の神経病理学的研究を専門としていますが、これまで多くの分子遺伝学者や生化学者と共同研究を組み、iPS細胞やモデル動物、剖検脳の解析を通して神経変性疾患の治療法開発を行ってきました。今後も活発な共同研究、人的交流を行っていきたいと思います。
ここ数年の神経変性疾患の研究の進歩は目覚ましく、何百年もの間閉ざされていた重い扉が今まさに開かれようとしています。この脳神経内科学の歴史的転換期に、多くの諸君が参加してほしいと思っています。